祝・岩泉にてブルートレイン「日本海」復活
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年7月23日 05:37
ブルートレイン「日本海」が、ホテルとして復活することを知った。
場所は岩手県岩泉町、8月1日に開業とのこと。
岩泉町は日本三大鍾乳洞で地底湖が神秘的な「龍泉洞」を擁することで有名だが、今年春に災害不通となっていた岩泉線が廃止され、とても残念に思っていた。
そんな寂しさを抱いていた折、今般の朗報を知り、駆け付けたい電撃的な想いが身を包んだ。
「日本海」は一昨年春に廃止されたが、このたびA寝台を含む3両が、この岩泉でホテルとして生まれ変わる。
これは、岩手県の「NPO法人岩手未来機構」が、岩泉町に寄贈する形で実現したプロジェクト。
そのきっかけは、東日本大震災後、被災地を訪れるお見舞いの親戚や友人、多くのボランティアの方々の宿泊できる施設が、圧倒的に不足していたことが、プロジェクト立ち上げの理由とのこと。
そして、廃止になった寝台列車であれば、おおがかりな工事を要せず、即座に宿泊施設として活用できるのではないか…という発想だったそうだ。
しかしながら、JRの本線から外れた山間の町にブルートレインを運び入れることは、費用及び輸送面において多くの困難があったことは、容易に想像がついてしまう…
そんな困難を乗り越えさせた大きな原動力は、被災地の復興を願う心…
そして、そこで暮らし育つ子どもに夢を与えることだと仰る。
岩手未来機構の皆さんは、外で思う存分遊ぶことが難しい福島の子ども達を招き、宮城・岩手で被災した子どもたちをはじめ多くの人々と、スポーツや遊びを通して交流を深める場を、このブルートレイン「日本海」に託した。
廃止になったブルートレインが、このような形で復活したことに感銘を覚えるとともに、このプロジェクトの実現にご尽力された方々に、心から敬意を抱いた…
子どものみならず、大人にも夢を与えてくれましたこと、深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。
トワイライトエクスプレス来春廃止
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2014年5月29日 05:25
今朝の新聞で、大変残念な記事を目にし、出勤前に緊急乗務しておきたい。
大阪~札幌間を結んでいる、寝台特急「トワイライトエクスプレス」が来春廃止になるという。
主な理由は車両の老朽化とあるが、2016年春の北海道幹線開通予定も影響があるのだろう。
実際、JR東日本は北海道新幹線開通時における、青函トンネルの電圧変更で既存の機関車が使えなくなることを理由に、「カシオペア」「北斗星」の廃止を前向きに検討している。
JR北海道も、ここ数年の不祥事続きで安全対策に多額の投資を求められ、北海道新幹線開業と同時に第三セクターへ移管される在来線を走る1日1~2本の寝台特急のために、路線使用料を払う余裕はないらしい。
車両の老朽化、電圧変更による機関車の新造、第三セクター移管後の路線使用料、新幹線の深夜保守メンテナンス…
どれも、所管のJR各社が連携したり、知恵を絞れば、これら寝台特急の存続は不可能ではないと思う。
実際、青函トンネル対応の機関車新造はJR貨物が既に取り組んでいる。
どれも、「コスト」の一言で片づけてしまうのは、昨日の原発訴訟で触れた「国富の喪失」と言っては大袈裟であり不謹慎であるが、寝台列車や夜行列車をこよなく愛する者からすると、同等の喪失感がある。
しかしながら、JRは民営会社であるから、株主になんらメリットのない、利益を生み出さない投資はしないのであろう。
せめて…という表現になってしまうが、こんな方法はとれないのだろうか。
廃止後の「トワイライトエクスプレス」や「カシオペア」「北斗星」を、JTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行等の旅行会社が車両を持ち回りや共同でリースし、既存の営業路線以外をチャーター運行するツアーを企画し、「プチ・クルーズトレイン化」するということ。
「ななつ星」ほどの豪華さでなくても、これら3列車には一定のリニューアルを施せば、十分魅力的な列車だと思うし、新造するほどのコストもかからないであろう。
もちろん、実現には想像も及ばないような色々なハードルがあるのだろうが、JR各社や旅行会社が手を組んで、そのような形でも存続ができれば夢のようだ。
JNR国鉄車両色 塗り絵
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年12月29日 06:55
昨日、湯田中2000さんご家族と、うさみみみさんをお招きし、当車掌区恒例の忘年会を行った。
毎回、それぞれで持ち寄ったり、用意する食材や飲み物を決めて、のんびりと飲んでは話す心地良い集いだ。
そして、深酒になる前に子ども用のプレゼント交換をするのだが、今年は湯田中2000さんご家族から車掌見習へ頂いたお品が、開けてビックリ!
なんと、カツミの「JNR国鉄車両色」の色鉛筆であった!
もちろん、「車掌長へ」のプレゼントではなく、車掌見習のものであることは重々承知だが、思わず鼓舞してしまった…
この色鉛筆セットは、かねがね「買わなければ」と思っていただけに、湯田中2000さんご家族のセンスに敬服。
また、湯田中2000パパお手製の塗り絵台紙も、とても素敵であった。
ところで、このカツミの色鉛筆の素晴らしいことは、既存の色鉛筆では難しい、微妙な色合いの「国鉄色」を忠実に再現していることだ。
国鉄色とは、JR民営化前の日本国有鉄道(JNR)が、全国一律に車両の塗色を定めたもの。
全国どこでも、その塗色を見れば、特急か急行か、寝台列車か、通勤列車かetc…一目で認識できた。
「青15号」であれば、20系寝台客車、583系電車など
「赤2号」なら181系特急電車など
子どもの頃の憧れだった名車両たちも、時代とともに、そのような全国統一のわかりやすい(単純な)色分けは、「個性がない」と言われるようになってしまった…
しかしながら、車掌長は、国鉄色の列車ほど、日本の風光明媚な景色や季節に似合うものは他にないと思う
奇抜な色合いで風景を切り裂いたり、日本の良き風土の空気を読めない存在ではなく、控え目ではあるが、決して風景の邪魔にならない、色彩的に自然を損なわない列車の存在が好きであった。
収集&所有する過去の時刻表の表紙を眺めていると、この表紙を塗り絵にしてみたくなってしまった。
特に、大型化した1967年10月号から10年ほどの号は、四季折々の風景と列車が美しい…
ぜひ、JTBパブリッシングさんとカツミさんでタイアップして、世に出していただけないだろうかと願ってしまう。
(無責任ながら、ごく一部の人にしかウケないと思うが…)
何はともあれ、塗り絵も「大人の趣味」として、ノスタルジーな時間旅行になると思った。
末筆ながら、湯田中2000さんご家族と、うさみみみさんに、改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください
立ち売りの駅弁
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年12月17日 04:58
先週末、所用で福岡を訪れた。
空いた時間を利用して、かねてより立ち寄りたかった駅へ向かった。
そこは、いまだ駅弁の立ち売りが健在と言われる「折尾駅」。
一時、ベテランの販売員さんが体調不良で退職し、立ち売りが休止状態であったが、近頃は別の職員が配置され復活したと知り、気になっていた。
いざ車で折尾駅へ着いてみると、写真でしか見たことのない重厚な駅舎は取り壊されていた。
門司港駅を彷彿させる、風格ある大正時代の遺産を一目したかったが、叶わなかった…
やはり、物事は後々悔いが残らないよう、行ける機会をつくるべきだったと感じた。
落胆しつつも、入場券を購入し、仮駅舎を通り駅構内に入ってみると、まだまだ大正時代の姿を偲ばせるものに出逢えた。
折尾駅は鹿児島本線と筑豊本線がクロスする交通の要衝(ようしょう)。
日本初の立体交差駅としても知られる。
立体交差を構築する複雑な駅構内には、煉瓦造りの連絡通路や、ホーム屋根を支える木や廃レールの柱や梁、往時の蒸気機関車の煤(すす)で黒々したガード下etc…
どれもが100年近い歴史の生き証人…
きっと様々な世相や人間模様を、これらは見つめてきたのであろう。
そして、いよいよ駅弁の立ち売りが行われている鹿児島本線の5番ホームを目指した。
美しい煉瓦の地下通路を進むと、やや高い声で駅弁を売る声が響いてきた。
立ち売りをなさっているのは、小南(こみなみ)さんという御方。
折尾駅の「かしわめし」を買いに○○から来た旨伝えると、自己紹介して下さった。
逆に、○○のどちらからと尋ねられ、△△ですとお答えすると、私も住んでおりましたとのこと。
束の間、ついつい地元談義になってしまった。
「立ち売り、大変でしょうけど応援しております」と言葉を残し、5番線を後にした。
お目当ての「かしわめし」は、いまどき珍しい経木(きょうぎ)の折箱。
その手触りと簡素な包装紙に、胸がトキメイタ。
蓋を開ければ、鶏そぼろと錦糸卵、刻み海苔がきれいに斜めにストライプ…
いざ、箸をつけ口に頬張ると、掛け値なしに「美味い!」と言ってしまった。
値段も650円と良心的で、余計な副菜が極めて少ないのも素敵だ。
本当に味わい深い駅弁というのは、こういうスタイルなのだと実感する逸品であった。
最後に、包装紙にあった石黒敬七氏の言葉を紹介したい。
「関門トンネルを出ると、緑と太陽の国"九州"に入る。そこには僕の楽しみの一つである東筑軒の"かしわめし"が待っている。この駅弁の味から、夢多き九州の旅が始まるのである。」
昔は長編成の長距離列車が滑り込んだであろう、さきほどの長い長いホームを思い出し、旅人が舌鼓を打った伝統の味覚を噛みしめた…
ブルートレイン全廃を惜しむ
カテゴリー:①番線:鉄道(JR・私鉄)方面 2013年11月11日 04:57
これまで、列車で幾つの朝を、迎えたであろうか…
小学生の時、初めて一人で夜行列車に乗ってから、列車で夜を明かすことに最も旅情を抱いてきた。
眠れぬ夜は過ぎ去る街の灯りを見つめ、目覚めれば見知らぬ土地が出迎えてくれた。
レールの繋ぎ目を踏む走行音と、心地よい揺れ具合は、心休まる空間でもあった。
ときに、貸切のような車内では、寂しさと怖さを感じた夜もあった。
とくに山中を走る区間では、車窓に流れる灯りもなく、減灯された車内で何者かに見つめられているような錯覚もあった。
それでも、この列車には運転士さんと、運行を守る車掌さんがいる心強さもあった…
時は流れ、いまや乗りたくても、毎春廃止されてきた夜行列車は、遠い存在になってしまった。
もはや座席車を連結する定期夜行列車は、急行「はまなす」の1系統しかない。
そんな寂しい状況下、先週の新聞で「ブルートレイン全廃」の知らせを目にしてしまった。
寝台特急「あけぼの」が来春廃止になることは、時間の問題だと覚悟していたが、今でも高い人気の「北斗星」や「トワイライト・エクスプレス」、「カシオペア」までもが、あと2~3年で姿を消してしまうとは、何かの間違いであってほしかった。
特に、「北斗星」は車体が青い塗装の"ブルートレイン"と呼ばれ、国鉄時代の面影を色濃く残す列車…
「あけぼの」も同様であるが、「北斗星」も2015年度末に廃止されることで、日本からブルートレインと名乗れる寝台特急は全て姿を消すことになる。
新聞では多客期に臨時列車として運転する旨が書かれていたが、それは1シーズンぐらいの措置であろう。
一度廃止されたブルートレインが、臨時で運行され続ける前例はないことが物語っている。
航空運賃も安くなった
新幹線網も充実した
安価で良質なビジネスホテルも沢山できた
これらを列挙してみて、日帰り圏の拡大と夜間に移動する意義の薄らぎを実感する。
その日のうちに目的地へ着いて、ベッドで休み、翌朝家でするのと同じ身支度ができるなら、そちらを選択する方が当たり前であろう。
また、夜間に移動する足としては、過剰に発達した高速道路網が、東京と地方都市をダイレクトに結ぶ強みを発揮する夜行高速バスに費用面で軍配が上がる。
どんなに贔屓(ひいき)に鉄道の魅力を加味しても、時間効率と快適性を志向する現実社会では、割高なJRの夜行列車や寝台特急には勝ち目がない。
もはや、「旅情」や「郷愁」などと言っている車掌長の方が、マイナー的存在であり、コスト意識に欠けた「邪魔者」なのだと自覚する。
そして、夜行列車の「旅情」を求めたいなら、今秋運行を始めた高額な「クルーズトレイン」をどうぞ。ということなのであろう。
ささやかな願いや夢として語れば、豪華な客室やエンターテイメントのような演出は不要なので、快適かつ清潔な車両空間で、リーズナブルに目的地に着ける移動手段があればと思う。
もし、そこに食堂車があれば、もう言うことはない。
仕事や通常の観光でも、夜を跨いで移動する時間の魅力や、意義を味わえる選択肢がほしいと願う。
忙しい時代だからこそ、非日常的なユルく移動する時間にこそ、「自分の時間」のリズムを整える、或いはリセットする効能があり、「癒し」や「リフレッシュ」という長い人生を楽しく過ごす仕掛けがあると思う…