今年が節目のもの

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2013年1月20日 07:35

 

今月はプライベートの行事や出来事が多く、乗務が手薄になっている。
また、某TV放送局の依頼で調べものをするのも楽しく、予定していたアーカイブ各駅の設置工事再開は少し延期とした。

仕事よりも楽しみに時間を追われることは、贅沢なひとときと言える。

さて、そんな目先の忙しい時こそ、時間の尺度を広げた物事に目を向けたいもの。
そこで、ここ100年の中で今年が節目となるものの中から、車掌長の琴線に触れたものを幾つかご紹介したい。
歴史が浅い順に暫定ベスト7を列記してみると…

①日本初の世界遺産登録(4件)20年
②東京ディズニーランド開業30年
③中野サンプラザ開業40年
④テレビアニメ放映開始50年
⑤新見南吉生誕100年
⑥金田一耕助生誕100年
⑦田中正造没後100年

①の対象は、法隆寺地域の仏教建造物、姫路城、白神山地、屋久島だった。
現在日本での登録数は16件だが、車掌長は15件を訪問し、残すは小笠原諸島となった。

屋久島も今ほど観光客が押し寄せる前に訪れたが、時間配分を誤りお目当ての縄文杉手前で断念し、引き返したことが悔やまれる。
しかしながら、映画「もののけ姫」のモデルにもなったと言われる白谷雲水峡で、「苔むす森」を体感できたことは貴重な想い出だ。
また、平内海中温泉も良かった。

日本の世界遺産は、今後も鎌倉の社寺や富士山など、登録を目指すスポットがあり増え続けることだろう。
増えること自体は結構なことかもしれないが、そもそも世界遺産の意義を忘れてはならない。

それは某新聞記事でユネスコの要職の方が言っていたことだが、「文化の多様性を尊重する」という人類の力強いメッセージであると。

車掌長は「多様性」という考え方が大好きだ。

世の中が何でも「効率一辺倒」で、人間の面白味も工業製品のように画一化しつつあるように思う。
同じ情報媒体に触発され、同じモノを持ち、同じ消費行動をしないと不安に覚える人が多いのは現代病だと思う。

大量生産や大量消費をする社会や、それを支える企業活動ばかりが景気好況の指標と思われがちだが、そろそろ価値の多様性を大切にしないと、本当の意味での国の発展は望めないように感じる。

そして、世界遺産もビジネスに利用される限りは、本来の保全や保護、伝承という趣旨から遠ざかる懸念がある。

今年で初登録から20年の節目を迎えるにあたり、今後の20年をどう向き合っていけば良いのかを考えてみたい。
また、②~⑦の残り6つについても、時期をみて乗務日誌上に記してゆきたい。

(追伸)
皆さんは車掌長セレクトのベスト7の中で、何か琴線に触れたものはありましたでしょうか?
それら以外にもこんな節目があるというものをご存知でしたら、ぜひお知らせ願います。

 

コメント(4件)

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月20日 23:37投稿)

こんばんは

我が地元の新京成電鉄が65周年です。
ショッピングセンターに行けば、銀座コージーコーナーも65周年で、ミスタードーナッツのポン・デ・リングは10周年(笑

個人的に感慨深いのは、ウルトラセブンの45周年ですね。
ウルトラマンシリーズの中では最も好きで、大人になった今観て思うのは、まるで現代を予言していたかのように環境問題や社会問題を取り上げたドラマであり、宇宙人を通して生まれて初めてダイバーシティ(多様性)を教えてくれた教材だったような気がします。

子供じみた節目で、失礼しました(笑

車掌長さんからのコメント(2013年1月21日 05:38投稿)

希望者挙手 様

毎度ご乗車ありがとうございます。

さすが、色々な周年モノもご存知ですネ。
新京成電鉄65周年とのことですが、この路線のカーブの多さはよく知られています。

旧日本陸軍の鉄道連隊が演習用に敷設した鉄道で、様々な形態の線路をつくり出し、カーブの運転訓練等を行っていたようです。

実際、津田沼から松戸は直線距離で16㎞ほどですが、当該路線は26㎞で結んでいます。
これでも、軍が使っていたものを直線に直したりしたそうですから、元は更にカーブが多かったのでしょう。

そんな過去に思いを馳せながら乗車し、歴史を考えるのも面白いかもしれません。

ところで、ウルトラセブンは車掌長も同感です!

それでは、次回お会いする際、仮面ライダー2号さんが営んでいる居酒屋さんに行きましょうか?

その方も、新京成のようにカーブ(紆余曲折)が色々とあったようで、現在「バッタもん」というお店を開いていらっしゃいます。

ぜひ行ってみたいと思っていましたので、ご一緒していただけますか?
同年代には郷愁深い「変身ポーズ」などに興じましょう。

(追伸)
先日も新幹線ビューの素敵なお店の手配、ありがとうございました。
さすがでしたネ。

新たな人生の旅立ちも、心より応援しております。

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月22日 00:30投稿)

こんばんは

さすが車掌長です。地元の私でさえ知りませんでした。
そう言われれば、わずか26Kmの沿線には自衛隊の松戸駐屯地、下総航空基地、空挺部隊で有名な習志野演習場がありますね。

バッタもん、ぜひ行きましょう!
私がバイク乗りになったのは、仮面ライダーに憧れていたからです。

実は私、昨年末にバイクを買い替え、間もなく納車されますが、そのバイクはホンダのCB400スーパーボルドールというバイクです。

それはホンダの「PROJECT BIG-1」という構想から生まれたバイクで、その「PROJECT BIG-1」が昨年20周年を迎えて発売した、20周年スペシャル・エディションなのです。(昨年の周年モノです・・・笑)

機会がございましたら、ホンダのホームページを覗いてみてください。このバイク、サイクロン号を彷彿させるデザインとカラーリングなのです。
これを見た瞬間、このバイクに乗るために生まれてきたんだと思えてしまい、迷わず注文してしまいました。(受注生産のため)

何も文句を言わない家内に感謝です・・・笑

車掌長さんからのコメント(2013年1月22日 05:35投稿)

希望者挙手 様

連夜のご乗車ありがとうございます。

では、次回は「バッタもん」へ是非行きましょう!
希望者挙手さんのバイク好きが、仮面ライダーに起因していたとは、偶然とは言え嬉しいです。

仮面ライダー1号は、バイクに乗っている時に変身しましたが、2号は免許がなくバイクに乗れなかったので、あの一世を風靡した「変身ポーズ」が誕生したとのことですヨ。

バイク、早速HPで拝見。
なるほど…と、納得の感がしました。

折しも希望者挙手さんも節目の年ですから、想い出深いパートナーになりますネ。
そのようなタイミングで、大きな買い物をするのは共感します。
(やはり直観的に良いと思ったものは手に入れないと、のちのち後悔が募りますよね!)

車掌長も学生時代に自動二輪(中型)の免許を取得しましたが、当時の教習車がCBX400Fでした。
とても扱いやすく、トルクも太くて安心感があり、良い乗り心地だったと記憶しています。

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人生のB面へ

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2013年1月 2日 06:07

謹賀新年

新しい年を迎え、心機一転の感慨…
今年も皆様にとって良い年でありますよう心から祈るとともに、世の中のスピードダウンを願う。

車掌長はこの年明けで45歳(早生まれ)。
平均寿命を勘案し、今年から「人生のB面」に入ったと想定。
カセットテープに例えれば、90分用テープの半分が録音済みとなった。

デッキからテープを取り出し、B面に裏返して再びデッキへ。
これからの人生後半、どんな録音ができるか楽しみにしたい。

思えばA面の曲相は慌ただしいものが多かった。
先へ先へと生き急ぎ、アップテンポなものやクレイジーなものも沢山入っている。
やっと自分の好みや心地良いリズムがわかったのは、かなり後半からだ。

高校時代の思い出話を1つ。
SONYウォークマンが出て爆発的ヒットをして間もない頃、隣の叔父さん宅で車掌長が買った某歌手のカセットテープを聴かせてもらった。
叔父さんはオーディオに凝った人で「これで聞いてみな」と言い、そのデッキにカセットを装填し、ヘッドフォンを渡してくれた。

すると、車掌長の普段聴いていたラジカセからは聴こえもしなかった楽器の音色や、歌手の息遣いまでわかるような臨場感に驚嘆した。
そのデッキの名は「デンスケ」。
個性的な名前だったので、瞬時に脳裏に刻まれた。

その後、クラシック曲を同機で聴かせてもらった。
深淵な低音や軽快に空へ舞いあがるような高音の再現性、オーケストラ音楽の1つ1つの楽器の音色を拾い上げるリアルさに、何かが目覚めた感覚が体に走った。
それまであまり興味のなかったクラシックを好きになった瞬間だ。

アナログは、録音も再生もデッキやアンプによって、その質には雲泥の差が付く。
デジタルは安価で一定のクオリィティを、誰もが気軽に手に入れることを可能とした。
これはとても素晴らしいことだろう。

しかしながら、本来であればそのクオリティ向上を自分なりに工夫したり、お金を貯めて入手したり、高めたりするプロセスにこそ、満足や醍醐味があったのだと感じる。

車掌長も人生後半のB面を、より良い録音や再生ができるよう、自分自身という「デッキ」を高めたい。
そして、声高に叫ぶだけの人よりも、小さな声や声にもならない色々な人の想いを拾い集め、それらを増幅できるような「アンプ」の力も高めたいものだ。

ただ、テープは途中で切れることもある。
90分用のテープを使いきれないアクシデントもあるかもしれない…

もし、無事使いきることができたら、ワガママを言わせてもらいたい。
新しい10分用のテープをデッキに入れて楽しみたいことがある。

それは、車掌長自身の「JTB時刻表愛読1000号」をこの目で見たいことだ。
それまでJTB時刻表が、紙媒体として末永く発刊されていればの話だが…

 

 

コメント(6件)

たくちゃんさんからのコメント(2013年1月 3日 06:59投稿)

あけましておめでとうございます。
本年もどうかひとつ、よろしくおねがいしますです。

気がつけば、年が明けてしまいました。
年末年始は、相方ともども、風邪をひいてしまいましたが、
何とか実家への挨拶も済ませ、
久しぶりの予定のない日が始まろうとしております。

そうでしたね。
車掌長はじめ専務車掌様、
うちの相方、そしてワタクシと、
見習い車掌様以外が早生まれという
大変珍しい状態だったんですよね。

専務車掌様が、私どもの近くにお住まいだったとき
1日おきの誕生日をいいことに
合同お誕生会なんてものを開催していたことが
思い出されました。
よく行ったあのお店も、今はなくなってしまいました…。

人生における「アンプ」。
その力を皆さんがつけていくことで、
マスコミが震え上がるぐらいの力を持つような
地の底からわきあがってくるような声に
変えていけると思います。
そしてまた、見習い車掌様が生きていく社会を
少しでも実り多いものにしていくため、
我々が何とかしないといけないんでしょう。

Brian Adams という
カナダ人のアーティストがいます。
「Waking up the Neighbors」というアルバムの
ジャケット写真が、好きでしてね。
なかなかいいセンスをしているなと思うと同時に
こんなことしてみたい思いに
とらわれることも
多いんでございますよ。

って、何を書いているのかわからなくなってきましたので
とりあえず、本年もよろしくお願いいたします。
というご挨拶でした。

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月 3日 16:33投稿)

あけましておめでとうございます。

私も今月が誕生日ですので、早生まれ仲間ですね(笑)

中学生の頃から買っていたヘビメタのレコードには、B面の2曲目あたりに結構いい曲が入っていたりしてました。
私はすでに人生のB面に突入しておりますが、これから2曲目に向けて盛り上げたいと思います(笑)

また私は、誕生日直後の2月には5回目(6社目)の転職を迎えますので、「自分」という90分のカセットテープをCrO2からMetalにアップグレードし、Normalに戻らないよう頑張りたいと思います。今までがCrO2だったのかという疑問もありますが(笑)


たくちゃんさん

Bryan Adams、いいですね!
馬が大好きな私の次女がお気に入りの映画に「スピリット」という馬が主人公のアニメ作品があるのですが、主題歌はじめほとんどの挿入歌をBrian Adamsが歌っておりますので、ぜひ聴いてみてください。
そのサントラ盤は、Bryanの隠れた名盤だと思っております。

登場する馬たちにセリフはなく、Matt DamonのナレーションとBryan Adamsの歌だけで表現された世界観は、大人の私が見ても美しいと感じますので、DVDで観ていただければと思います。

車掌長殿も車掌見習君がもう少し成長されましたら、ぜひご一緒に観てくださいね。


それでは、本年もよろしくお願いいたします。

車掌長さんからのコメント(2013年1月 4日 07:15投稿)

たくちゃん 様

毎度ご乗車ありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ブライアン・アダムス、早速ジャケットを検索して拝見しました。
とても力強い叫びです。
その叫ぶ内容は見た人のイマジネーションですが、属する社会やもっと広い世界へ向けた雄叫びのように感じました。

余談ですが、車掌長も拡声器こそ持ちませんでしたが、同じような叫び声を出すことをしていました。

今から20年以上前、某大手旅行会社の添乗員の仕事です。
今や全盛の格安バスツアーの草分け的な会社でした。

伊東のハトヤさんに着けば、「お食事はこちら、大漁苑になります!食後はこちらのお土産店をどうぞご利用ください!温泉に入る方は大浴場はあちらです。出発は○○時、くれぐれも遅れないように!!」と、声を嗄(か)らせて言っていたことを思い出しました。

話は脱線しましたが「怒り」というものは、身近な人間関係の中で時間をかけて蓄積される嫌悪感が発端のものや、全く面識のない人への偶発的な些細な接触で瞬時に沸点に達するようなものがあります。

車掌長も大昔のかなり若い頃、そのような感情を持っていた時期もありましたが、今は「社会に対する怒り」や「理不尽な組織・仕組みに対する怒り」というように、対象が移行してきました。

「怒り」というと立派過ぎますので、「疑問」の方が正しいと思います。
しかしながら、そうした「疑問」がやがて「怒り」へと成熟するのだと思います。

「怒り」は現状を良くしたい、解決したいという、人間本来の前向きな感情表現です。

これを正しく発したり、そのような場がないと、歪んだ社会になってしまいます。
そして、正しく発しようとすることを、認め合える世の中でありたいものです。

突き詰めれば、それが本当の政治の姿のように思います。
何でもかんでも、無理やり決めることがリーダーの象徴のような幻想が蔓延していますが、それは歴史が物語るように、大きなツケや代償を伴います。

たった1人の人間が1億人余りの人生を預けられる責任など、持てるはずがないのです。

車掌長の「リーダー像」は、最後尾から皆を励ましたり、勇気づけることができる人です。
そして、様々な人の持てる力や個性を上手に引き出せる人です。
これはなかなかできる「リーダーシップ」ではありません。
声高に叫んだり、ダメ出しだけ言うことは一番簡単なのです。

長くなりましたが、1人1人が「人任せ」にしないで、身近な解決したい世の中の問題に目を向けたり、疑問を抱くことが大切だと思うのです。

車掌長さんからのコメント(2013年1月 5日 14:51投稿)

希望者挙手 様

本年も早速のご乗車ありがとうございます。

そう言えば、偶然ですが早生まれの方が多かったですネ。
昔から「早生まれ」は得か損か?という話がありますが、ある程度の年齢になると、同学年の人よりもちょっぴり若いことがオトクに感じるこの頃です。(笑)

ところで、今年は年明け間もなくのご転職、おめでとうございます!
このご時世、着実にキャリアをお積みになって、Newステージへの展開、素晴らしいことです。
きっと、今までにない風景が広がり見えると察します。

ちなみにですが、車掌長も希望者挙手さんにプラス1回多い職歴です。

それにしましても、CrO2のテープとは懐かしいお話ですネ。
メタルテープも、あの重量感やプレミアム感の漂うパッケージが好きでした。
今やどちらも絶滅種ですネ。

何はともあれ!
来週お会いしたときに、新たな旅立ちに祝杯をしましょう。

(追伸)
いただいた年賀状の愛車のお写真、もしや木曽に行かれたのでしょうか?

希望者挙手さんからのコメント(2013年1月 5日 23:52投稿)

さすが車掌長!

あの写真は奈良井宿です。

以前、中山道ツーリングを断念したことがあり、昨年ようやく達成しました。(といいましても塩尻~妻籠間ですが)

奈良井では、念願のそばと五平餅を食してきました。
ドラマの舞台となったこともあり、バスツアーの観光客が多いことには驚きましたが(恐るべしNHK・・・笑)

途中、贄川(にえかわ)駅に立ち寄り、駅舎を掃除していた管理員さんと少しお話してきました。
この駅で撮った写真も年賀状に使いたかったのですが、露出(光の加減ですよ・・・笑)の具合がよろしくなかったので、諦めましてしまいました。

車掌長のタビダス顔負けの情報量に脱帽です!(笑)

車掌長さんからのコメント(2013年1月 6日 06:10投稿)

希望者挙手 様

お褒めの言葉を賜り恐縮です。

木曽路は大好きです。
中学2年の時、国語の教科書で島崎藤村の「夜明け前」を習いました。
その冒頭の言葉の美しさに惹かれて思い立ち、直後の冬休みの一人旅で旧中山道を歩きました。

中津川の落合宿から馬篭宿までの区間ですが、「是より北 木曽路」の石碑や杉並木や石畳に往時を偲びたかったのです。

誰ともすれ違うことのない寒い山道を独りで歩くのは、少々怖い感じもありましたが、それ以上に昔の旅人に近づける実感がありました。
また、更にリアルに体感しようと「草鞋」に履き替えて歩いたものです。(笑)

ようやく辿り着いた馬篭宿と、その先は路線バスで向かった妻籠宿。
もう30年前となる当時は、現在ほど観光客もおらず、両宿場とも静かにお正月を迎える雰囲気がとても印象的でした。

贄川と言えば「是より南 木曽路」の石碑や関所がある土地ですネ。

今回は愛車のお写真をきっかけに、懐かしい時間旅行を楽しめました。
ありがとうございました。

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SEIKO Silver Wave

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年12月24日 07:05

昨日、腕時計の電池を交換した。
ここ6年ほど、仕事の都合で腕時計が使えず外して久しかったが、別の探し物をして出てきた。

いつの時点で電池が切れたかは不明だが、前回電池を替えた記憶は10年近く前だと思うので、外すようになって間もなく切れていた可能性が高い。

この時計はセイコーの「シルバーウェーブ」。
中学卒業時に、高校進学のお祝いにと父が買ってくれたものだ。

当時車掌長は、本来の志望校であった公立高校を、自分の強い意志で急遽、私立高校へ進んだ。
この選択には当時の担任教諭も、もっと偏差値の高い学校に進めるのにどうしたの?…と、突然の進路変更に驚いていた。(この偏差値という言葉自体、当時から好きな言葉ではなかったが)

何はともあれ、その学費を心配して、車掌長は店頭に並ぶ数千円のデジタル時計を所望した。
すると父は、「節目の時は永く使える良いものを買った方がいい」と言ってくれた。

店内に入り、ショーケースの中で綺麗に輝いて並ぶ時計から、「セイコー」のブランドを探した。
セイコーは昭和初期に鉄道時計として指定され、その正確さが魅力的だった。
そして、シンプルなデザインと防水性を考慮して、気に入ったものを選んだ。
値段は3万円近くにもなってしまった。

そんな大切な想い出のある時計の電池を、長い間切らせてしまい悔やまれた…
すがる思いで、近所の時計店に入り結果を待った。

預けて間もなく、電池交換をしてくれた初老の男性が一言。
「大切にお使いですね」と…。
受け取った時計は、息を吹き返したように時を刻んでいた。

車掌長にとって、その一言が素敵なクリスマス・プレゼントとなった。

折しも、年が明ければこの腕時計を買ってもらい30周年。
この再会に感謝し、ふたたび、これからの人生を共に歩んでゆきたい…

 

とむとむ

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年12月 9日 06:18

昨日、学生時代の友人と日帰りドライブを楽しんだ。
友人がこの度、通勤で使っていた車を買い替えた為、そのお披露目と試乗が目的だ。

6時前に車掌長宅へ迎えに来ていただき、一路つくば方面へ。
まず目指したのは喫茶店でモーニングができる店だ。

場所は圏央道つくば牛久ICに程近い「とむとむ」で、開店間もない7時過ぎに到着できた。
偶然ネット検索で見つけた店だが、店の外観も店内の雰囲気も素敵だった。
そして何より肝心な「モーニング」が最高であった。

2杯立てサイフォンコーヒーを注文すると、下記のものがサービスされる。
トースト(バター・ジャム付)、ゆで卵、サラダ。
これで525円。

車掌長は学生時代、愛知県の喫茶店でアルバイトをしていたので、当地の過激なサービスはよく知っているが、関東地区でこうしたサービスはごく少数派であり、希少かつ貴重な存在だ。
(近年関東へ進出した某チェーン店もモーニングを提供しているが、いつもお客が多すぎて落ち着かない。)

「とむとむ」の特筆すべきは、サイフォンで淹れたコーヒーを1人1人に用意してくれる贅沢さ。
フラスコに入った2杯分の1杯目は店員が注いでくれる。応対も恐縮するほど丁寧。
残り1杯分は自身でカップに注ぐことができるよう、フラスコに蓋をして置いてくれる。

サイフォン式コーヒーは、その抽出過程がドラマチックで大好きだ。
熱湯がパイプと通ってロートに押し上げられ、コーヒーを抽出させながらフラスコへ戻ってゆく…
その全過程が可視化されているのがとっても楽しい。

ドリップコーヒーは、淹れる手技によって味が左右される神経質な一面があるが、サイフォン式なら誰もが一定の味を出すことができる。
車掌長もアルバイトをしていた頃、ドリップするのはマスターの仕事だったのを覚えている。
やがて淹れ方を教わり、任されるようになった時はとても嬉しかったものだ。
ちなみにその当時の時給は500~550円。1日11時間半働き夜学の大学へ行くのが日課であった。

この友人とも学生時代、あちこちの喫茶店でモーニングを楽しみその良し悪しを談義したのが懐かしい。
とても心地よい雰囲気で友人との会話も弾み、気が付けば8時半を過ぎ、プチ浦島太郎の気分。
楽しい時間というものは、まったくあっという間に過ぎるものだ。

余談だが「とむとむ」は地元でコーヒー豆を自家栽培し、焙煎しているとのこと。
コーヒー豆といえば、ついつい南国の産地を思い浮かべるが、その努力やご苦労、こだわり、喜びもコーヒーの味わいに凝縮されているのだろう。
ぜひまた訪れてみたいお店となった。

(追伸)
末筆ながら、友人との楽しいひと時を過ごさせていただいたことにお礼申し上げます。
やはり喫茶店は「時間を消費する」豊かな場所であることを実感できました。
ありがとうございました。
 

 

AM5:00発 ひかり322号

カテゴリー:③番線:時間旅行、時刻表方面 2012年12月 2日 07:40

師走に入り暦も残り1枚となった。
年末年始に公共交通機関で帰省される方は、往復の席の確保に真っ最中の頃であろう。

とはいえ、今は一昔前に比べ切符(予約)はネットの普及もあり遥かに確保しやすくなった。
また、飛行機をはじめ、新幹線や夜行高速バスなどの利用交通手段の選択肢も多くなった。

さて、タイトルの新幹線の出発時間に「おや?」と思われた方がいらっしゃると思う。
よく新幹線を利用する方なら、「そんな時間に列車は走ってないはず…」と気付かれるだろう。
もちろん現在は存在しないが、1960年代後半から70年代前半までは運転されていた。

鉄道に興味がある方は、この列車は末尾が偶数なので上り列車であることがわかる。
このひかり322号は、新大阪5:00発、東京駅8:10着。
これなら大阪から東京での会議に、余裕で間に合うダイヤだと思われるかもしれない。

しかしながら、この列車のお客はビジネスマンではなく、九州方面からの年始の帰省客だ。
この新幹線に接続していた列車は、臨時急行「筑前」&「ぶんご」。
両列車とも始発駅である博多と大分を午後の昼下がりに出発。
途中で両者は合流し、新大阪へは翌4:21着というダイヤだ。

なお、このひかり号は年末の下りにも設定がある。
東京21:30発のひかり329号が、新大阪に0:40に到着後、同急行に接続し九州へと出発する。

ちなみに、この話を綴る際に車掌長が手にしている時刻表は1967年12月号(通巻第502号)。
この号のグラビア特集は、当時の年末年始の帰省がいかに過酷であったかの一端を垣間見ることができる。
みな遠い故郷へ「座って帰る」ことに血眼になっていたことと察する。

年明け1月からは、「哲×鉄アーカイブ本線」の各駅(各号の読みどころ)の工事を再開予定。
今回のように、昔の時刻表でしか味わえない時代への時間旅行をお届けできれば…と思う。

(追伸)
今回の話は車掌長は生まれて間もない頃のため、その様子を知る由もありません。
当時の帰省のエピソードや状況を体験したり、ご存知の方はぜひコメントとしてお送りいただけるようお願い申し上げます。

そして、当時の帰省旅行の大変さを知らない世代が、追体験の「時間旅行」をご一緒させていただければ嬉しく思います。
 

 

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